ウイグルとは
4世紀から13世紀にかけて中央ユーラシアで活動したテュルク系遊牧民族とその国家、及びその後裔と称する民族、それがウイグル。
現在は中国の新疆ウイグル自治区や、カザフスタン・ウズベキスタン・キルギスなど中央アジアに居住しており、人口は約1千万人。
テュルク諸語のウイグル語を話すムスリムである。
新疆ウイグル自治区とは
中華人民共和国の自治区で、中央アジアに近い北西部に位置している。
省または自治区としては中国最大で、世界で8番目に大きい国家行政区画となっている。
160万平方キロメートル以上の広さを持ち、約2500万人の住民がいる。
新疆モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタン、インドといった国々と国境を接しており、国境の大部分は険しいカラコルム山脈、崑崙山脈(こんろんさんみゃく)、天山山脈が占めている。
中国が統治するアクサイチン地域は、インドが領有権を主張している。
中国内では、チベット自治区、甘粛省、青海省とも接している。
シルクロードの最も有名なルートは、新疆ウイグル自治区の東から北西の境界までを通っている。
領土内には、テュルク系のウイグル人、カザフ人、キルギス人、漢族、チベット族、回族、タジク人、モンゴル族、ロシア人、シベ族など、多くの民族が暮らしている。
民族の比率は、ウイグル族が45%、漢族が41%を占め、その他少数民族が多数住んでいる。
この地域一帯は、中国のトルキスタン、東トルケスタン、東トルキスタンと呼ばれる事も多い。
新疆ウイグル自治区は少なくとも2,500年の歴史を持っており、多くの人々や帝国がこの地域の全て、または一部を支配しようと競い合ってきた。
18世紀には清王朝の支配下に置かれ、、その後中華民国政府に取って代わられた。
1949年の中国内戦以降は、中華人民共和国の一部となっている。
1954年、ソビエト連邦に対する国境防衛を強化するとともに、兵士を地域に定住させる事で地域経済の振興を図るため、新疆生産建設兵団(XPCC)が設立された。
1955年、新疆は省から自治区へと行政が変更される。
ここ数十年、新疆では豊富な石油・鉱物資源が発見されており、現在は中国最大の天然ガス産出地となっている。
1966年、自治区内に文化大革命が波及。
少数民族を多く抱える新疆ウイグル自治区での闘争は、中国の他地域と比較する限りではある程度は抑制されていたが、それでも一部で行われたモスクの破壊や紅衛兵同士の武装闘争により、混乱に拍車がかかった。
1980年代に入ると、文化大革命が終結し、言論統制が緩和されていく中で、ウイグル人住民の中で、グルシャ事件など新疆ウイグル自治区における民族自治の拡大を求める動きや国外の汎トルコ主義者が独立を主張する動きも見られ、たびたび暴動やテロが起きていた。
1990年代から2010年代にかけて、東トルキスタン独立運動、分離独立紛争、イスラーム過激派の影響により、新疆ウイグル自治区では時折テロが発生したり、分離独立派と政府軍が衝突するなどの不安が生じている。
これらの紛争を受けて、中国政府はこの地域に強制収容所を設置し、思想改革によってイスラム教徒に信仰を捨てさせようとした。
これらの措置が、海外で「ウイグル人大量虐殺」と総称されている。
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