日経平均攻略

相場は予想しない

投資スタイルは、一般的に「順張り」と「逆張り」の2通りに大別されるが、特に日経平均先物などで利益を得ようとするなら、「順張り」で挑むべき。
値動きに合わせて臨機応変に売買していき、決して今後の相場がどうなるか予想するべきではない。
相場は予想通りに動くことはほぼ無いため、予想をする事にそれほど大きな意義はない。

「下がると思えば売るし、上がると思えば買う」
これが基本となる。

戦争は買い?湾岸戦争の事例

今も世界のどこかで争いが頻発している。
「戦争は買い」という格言があるが、本当に買いなのか?
湾岸戦争のケースではどうなったのか?

まず、戦争というのはある日突然起きるわけではない。
まずは開戦が懸念される状況がしばらく続いた後に、開戦され終結に向かう。
この終結までの流れの中で、株価は動く。
ただ、厄介なのは、相場が下がり続けている間でも、政府が株価対策を掲げる事によって一気に戻るときがある。
こんなときに、全力で売りポジションを持っていたら即死。
株式投資は、「戦争は買い」「売り」と覚えて売買すれば儲かるという考え自体が甘く、それほど相場は甘くない。

大切なのは株価の上下を予想するのではなく、どのような可能性があるのかを頭に入れておくこと。
そして、相場が発する音に耳を傾けながら、自身のポジションを変化させていく必要がある。

歴史を学んでおけば、戦争だからこそ報じられやすい材料を知る事が出来る。
対する市場の反応を知り、何が株価の変動に影響を及ぼすか、頭の隅に置いておく事が出来るようになる。

まだ80年代バブル経済の余韻が残っていた1990年8月2日、後の湾岸戦争に繋がる、イラクによる隣国のイランの都市クウェートへの侵攻が発生した。
8月8日には、イラクのフセイン大統領がクウェート併合を発表。
この一連のイラクの奇襲に対して、諸外国は批判声明を出し、一致団結して事態解決に向けて努力する姿勢を示した。
この後すぐに湾岸戦争が始まったわけではなく、それから開戦までの間緊張状態が持続し、日経平均株価はイラク情勢に関するニュースが報じられる度に下げる形で反応していた。
「バグダッドで戦車が燃えている」、情報端末にそんなヘッドラインが流れるだけで、日経平均先物に売りが殺到していた。

アメリカをはじめとする連合国各国とイラクのフセイン大統領との間では、日々緊張が高まるばかり。
ただ、専門家の中には「戦争には至らない」「対話で解決する」といった予想も。

この時の日経平均は、1990年8月1日の3万837円から、8月24日には2万4165円の安値まで付け、1ヶ月で6,000円以上暴落していた。
湾岸戦争の例では、「開戦前は売り」が正解といえる。
とはいえ難しいのは、決して株価が一方的に下がり続けたわけではないということ。
大幅安の後に突然856円高の日があったり、ときには1,439円高と1,000円を超える戻りの日があったり、ストップ安の次の日がストップ高など、株価は恐ろしいぐらい激しく動いていた。
下げ相場が続くだろうと予想が出来ていたとしても、日経平均が1,000円以上も戻すような動きとなったときに、平然と売り持ちを続けられる人は滅多にいない。

1990年10月1日、ついに日経平均株価が2万円割れに。
その前年1989年の最終立会日である大納会の日には3万8915円の高値をつけた日経平均が、たったの10ヶ月で半値近くまで売り込まれてしまった。
しかし、「政府が株価のテコ入れ策を検討」というヘッドラインが流れてくると、市場はそれに敏感に反応、このニュースを機に猛烈な買い戻しが発生し、終値では結局2万円を回復して引けることに。
翌日の10月2にも強烈な買いが引き続き殺到し、個別銘柄もほぼ全銘柄が買い気配、最終的に日経平均先物は値幅制限で価格つかず、現物の日経平均株価は前日比2676円高。

このジェットコースターのような値動きを振り返ると、「戦争は買いか売りか」などと決めつけて売買すれば大やけどを負う危険性が高いという事がよく分かる。

1991年1月17日、多国籍軍が「砂漠の嵐作戦」でイラクを空爆、湾岸戦争開戦に至る。
開戦したときは、イラクの夜中。
ミサイルが闇を切り裂きながら飛び交う映像が公開され、まるでゲームの先頭シーンのような光景の中、圧倒的な力でイラクの国土が破壊されていった。

朝には日経平均先物には売りが殺到、そして「有事のドル買い」による強烈なドル高に。
ただ、日経平均先物が300円安で寄ると、一転して買い気配となって切り返し始める。
多国籍軍が圧倒的に優位で戦争が早期終結するという観測が流れ、結局日経平均先物はストップ高まで急騰。
為替も一日で5円近く、ドル高から円高方向に動く展開に。
「戦争が始まって日本市場は売られて始まり、その日のうちにストップ高」、そんなありえない事が起きるのが相場。

ただ、早期終結の観測が流れたものの、実際に終戦に至ったのは2ヶ月後の3月。
戦争に突入した当初は激しく動いた日経平均も、徐々に値動きを無くし、上値が切り下がり、下値が切り上がりの三角持ち合いの形状に。

2月に入ると、日経平均株価は上値切り下げの抵抗線をあっさりと上抜ける。
2月24日からは空爆を終え、地上戦に突入。
3月3日、ようやくフセイン大統領が敗戦を認め、停戦協定が結ばれる。
このとき、良いニュースだから株価もさらに上がるだろうと思った人は多くいたが、翌日の株式市場は既に織り込み済みといわんばかりに動かず。
ただ、3月18日には2万7000円まで戻し、これからは良くなっていくと期待されていたが、結局そのまま20年以上経っても戻せない歴史的な高値水準となってしまった。

2003年にはイラク戦争が勃発したが、湾岸戦争と比べると日本の株式市場への影響は少なかった。
湾岸戦争では多国籍軍が結成され、大掛かりな爆撃、世界情勢の不安定化といったネガティブ要素が数多くあった。
だが、イラク戦争では、2003年3月20日、「イラクの自由作戦」としてイラクへ侵攻が開始されたが、このときはアメリカが主体となり、イギリス、オーストラリア、ポーランドなど、支持を表明した国は湾岸戦争と比べると少なかったという特徴がある。
「イラクの自由作戦」が始まった3月20日以降、日経平均に湾岸戦争の頃のような一日の値幅が1,000円を超えるような激しい動きはなく、むしろ600円程度上昇した。
イラク戦争の場合には、「戦争は号砲とともに買え」という格言が当てはまる形にはなった。

今後、戦争が朝鮮半島で起こるとどうなるのか?
さすがに中東での戦争とはわけが違う。
仮に、日本本土にミサイルが着弾した場合、被害の地域や規模による状況は変わってくるが、震災のときと同じような値動きになる可能性も考えられる。

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