過食の原因となる低血糖症

低血糖症とは

なぜあなたは食べすぎてしまうのか

生きていく上で必須のエネルギー源である「血糖」が不安定になってしまう病気、それが低血糖症。
病気ではあるが、西洋医学的に正式に分類されている病気では無く、一般的な医療機関では診断されない「隠れた病」といえる。
低血糖状態になると以下のような症状がみられる。

  • なんとなく具合が悪い(疲れやすい・冷え性・頭痛・朝起きられないなど)
  • なんとなく精神的に不安定(イライラ・キレやすい・やる気が起きない)
  • 抑うつ
  • 過食
  • 肥満、メタボリックシンドローム
  • アトピー性皮膚炎
  • ADHD(注意欠陥・多動性障害)
  • 老人性痴呆

こういった「不定愁訴」的な症状を訴えたとしても、基本的には対症療法的に一部の症状を抑える薬を処方されるだけで根本原因の解決には至らない事が多い。
当然ながら、こういった症状たちが「低血糖症」が原因であると断言出来るわけではない。
しかし、普段から食べ過ぎてしまう傾向にある人、肥満気味の人や糖尿病予備群な人はもちろん、例え見た目は痩せててもついついコンビニ通いが止められないような人も要注意。

血糖や血糖値について

血糖とは、血液の中に含まれている「グルコース(ブドウ糖)」のことであり、血糖値はその濃度(血液中のグルコースの濃度)の事を指している。
この血糖値がちょうど良い濃度に保たれていないと、人間というのは当たり前の事を当たり前に実行する事が出来なくなってしまう。
血糖は、人間が生きていく上で最も利用しやすいエネルギーであり、呼吸をするにも心臓を動かすにも必要となり、眠っている時間も含めて常に消費され続ける。
特に脳は血糖を特に多く使用する上、基本的に血糖しかエネルギーとして使用しない。
さらに脳はグルコースを蓄える事が出来ず40秒で使い切ってしまうため、脳のために血糖値を安定した状態で保っておく必要がある。
そのため、血糖値が不安定になる「低血糖症」においては、まずは脳からダイレクトに影響を受ける事となり、心身ともに様々な不調が顕れてきてしまう。

生命を維持する働き:ホメオスタシス(生体恒常性)

体温・血圧・心拍数・発汗量・尿量など、体の中の様々な状況・環境を常に一定の状態に保とうとする働きを「ホメオスタシス」という。
ホメオスタシスのおかげで生命が維持出来るのであり、「健康」というのは「ホメオスタシスが滞りなく正常に働いている状態」といえる。

人間の体には、数え切れないほど多くのホメオスタシスが働いているが、その中でも最も重要で厳重にコントロールされているのが「血糖値」
食べ物を食べると、口から入った食べ物は胃・十二指腸・小腸を通っていく過程で様々な消化液によって溶かされ、細かい状態に分解され、消化された栄養素は主に小腸の粘膜から体内に吸収されていく。
吸収された栄養素はまず肝臓に運ばれ、そこで加工された上で、全身に運ばれて、体を動かすエネルギーとなったり、体の一部を作り替えるために利用されたりする。
消化されなかった食べ物のカスや食物繊維、腸内細菌などが糞便となり、日々のお通じとなって排泄されている。
糖質・脂質・タンパク質は、消化されると最終的にそれぞれ「グルコース」「脂肪酸」「アミノ酸」となる。
いわゆる炭水化物は糖質であり、消化されると基本的には全てグルコースとなる。

血糖値の調整

自律神経とホルモン、肝臓などの様々な臓器が血糖値の調節に関与している。
血糖値が高いときは、膵臓からインスリンを分泌させ、血糖値を下げる。
血糖値が低いときには、副腎髄質ホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン)およびグルカゴンを分泌させる事によって、血糖値を上げる。
脳下垂体を刺激して、副腎から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌させ、血糖値を上げる。
生物として飢餓の状態を想定した身体の作りとなっているため、とにかく血糖値を上げる仕組みの方が充実している。

また、肝臓はインスリンに関係なくグルコースを取り込める臓器の代表であり、血糖値を安定させるために重要な働きをしている。
食後など血糖が十分にあるときにはグルコースを取り込み、貯蓄型の糖分であるグリコーゲンとして蓄える。
更にグルコースが余分にあるときには、脂肪に変えて蓄えられる。
空腹時など、血糖値が下がったときには、肝臓がグリコーゲンをグルコースに戻したり、アミノ酸や乳酸・ピルビン酸などの物質からグルコースを作る「糖新生」を行う事により、血液中のグルコースを増やして血糖値を上げる。

膵臓は、血糖値が高いか低いかという事を常に監視している「血糖値の見張り番」としての役割を果たしている臓器となっている。
血糖値が高ければ、膵臓のβ細胞が反応してインスリンを分泌して血糖値を下げるし、血糖値が低ければアルファ細胞からグルカゴンを分泌して、血糖値を上げる。

副腎も血糖値の調節に関与しており、血糖値が低いときは副腎髄質からアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌して血糖値を上げる。
副腎皮質からもコルチゾールを分泌して、これも血糖値を上げる効果がある。
コルチゾールには炎症や傷みを抑える効果があり、アトピー性皮膚炎などの治療で使われる「ステロイド」はコルチゾールを薬品にしたものとなっている。

甲状腺ホルモンは、全身の代謝を維持させる働きをもっており、エネルギー産生や熱産生などに関わっている。
甲状腺ホルモンも、肝臓でのグリゴーゲン分解や腸でのグルコース吸収を促す事で、血糖値を高める働きをする。

このように色々な臓器が自律神経やホルモンを介して血糖値の調節を行っているのだが、血糖値を上げるホルモンの豊富さに対して、血糖値を下げるホルモンがインスリンしか無いというアンバランスさが特に際立っている。

糖尿病と低血糖症

血糖値を下げる事が可能な唯一のホルモンであるインスリンが分泌されない、もしくは効きが悪くなってしまったが故に、血糖値が高くなってしまう病気が「糖尿病」である。
糖尿病によって血糖値が高くなる事により、全身の毛細血管が障害を受け、網膜症や腎障害、神経障害を引き起こす。

低血糖症というのは、逆にインスリンが出すぎる、もしくは効きすぎる事によって血糖値の急激な低下を引き起こしたり、恒常的な低血糖状態をもたらす症状。

糖尿病と低血糖症は、一見すると正反対の病気に見えるが、インスリンが起因となって血糖値のコントロールがうまくいかなくなるという点において、共通の病気といえる。
そして、両方とも原因が共通しており、主に「精製された糖分の過剰摂取」が原因となっている。
砂糖やお菓子、清涼飲料水に加え、白米や小麦粉も精製された糖分であり、消化に時間をかける事なく、一瞬で糖分が吸収されてしまう「単糖類」の食べ物となっている。
こうした単糖類の食べ物を摂取すると、とても素早く糖分が吸収されてしまうが故に、血糖値が急上昇する。
すると、体は血糖値を下げようとインスリンを分泌する。
インスリンは血糖値の上昇速度に応じて分泌量が調節されるため、大量分泌されてしまう。
過剰分泌されたインスリンが血糖値の急降下を招く事により、結果的に低血糖症となってしまう。
この血糖値の乱高下を繰り返す事により、ホメオスタシスによって厳密に行われるべき血糖のコントロールが上手く行かなくなり、心身に様々な不調をきたす「機能性低血糖症」となってしまう。
低血糖になれば、真っ先に脳がグルコース不足に陥ってしまい、抑鬱状態にも直結、集中力低下・記憶力低下、だるい、疲れやすい、眠い、やる気が出ない、といった脳を起因とした様々な不調が現れる。
昼食後はすごく眠くなる、という症状は「当たり前の事」ではなく、「低血糖症の予兆」と考えてもいい。
現代人はランチで糖質を摂り過ぎなのであり、就業規則に定められた12時に無理やり飯を食べるのは全くもって合理的とはいえない。

低血糖が引き起こす「過剰な食欲」「過食」

数百万年もの長い間、飢えと戦ってきた私たち人類には、血糖値を下げる手段がインスリンしか無いのと対象的に、血糖値を上げる仕組みはたくさん備わっている。
正直言って、ちょっとやそっと血糖値の急降下を引き起こしたところで、すぐに血糖値を正常に戻す事が出来るので、問題にはならない。

ただ、血糖値が下がる事によって引き起こされる厄介な作用が「尋常じゃない空腹」「過剰な食欲」である。
「いくら食べても満足できない」「家にある食べ物を全部食べきってしまう」「夜中でもコンビニまでひとっ走りしてしまう」
これぐらい過剰で異常な食欲の引き金となってしまうからこそ、かなり厄介なのである。
とにかく脳を守るための命令なので、自分の意志の力で逆らうのは大変難しい。

また、血糖値を上げるホルモンの中でも「アドレナリン・ノルアドレナリン」は攻撃ホルモンと言われており、厄介な症状を引き起こす。
本来であれば生命の危険にさらされたとき、例えば肉食獣に見つかった瞬間などに咄嗟の瞬発力を発揮して危険から身を守るためのホルモンとなっている。
だが、低血糖になってしまうと、血糖値を上げるために本人の意志とまるで関係なく大量に分泌されてしまい、イライラして攻撃的になったり、不安な気持ちに襲われたりする。
命の危険などに直面しているわけでもない日常生活において攻撃ホルモンが分泌されてしまうと、精神が不安定になるばかりでかなり副作用が大きくなってしまう。
急激に不安に襲われて、死にたくなってしまうのもこれらのホルモンの影響が強いとされている。

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