決算発表の延期
2023年6月期の決算発表を予定していたAbalanceが、期末決算の確定遅れにより、発表を8月14日から8月21日に延期しました。
この延期は市場にとって不安材料となり、同社の株価は大きく下落しました。
市場への影響
決算発表の延期は、投資家やアナリストにとって業績の判断が困難になる可能性があるほか、同社の信頼損失の危険もあります。
株価への反応
延期発表後、同社の株価はストップ安まで下落。
Viceroyから疑惑のレポートが出ても1万円以上をキープしていた株価は6千円台まで急落しており、株価の動きに注目が集まっています。
延期の背後にある可能性
決算発表の延期背後には、複雑な要因が絡んでいる可能性が考えられます。
特に、業績予想の下方修正と財務状況の悪化が主な焦点となります。
業績予想の下方修正
Abalanceの2023年6月期の連結業績予想は、売上高 32億円、営業利益 2億円、経常利益 2億円、純利益 1億円とされていました。
しかし、同社の主力事業であるクラウドサービスやAIソリューションの市場環境は、競争が激化しており、価格競争やコスト増加などの影響を受けている可能性があります。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の低迷や消費者心理の悪化も、業績にマイナスの影響を与えていると推測されます。
これらの複合的な要因により、期末決算の確定に時間を要し、業績予想の修正や減損損失の計上などの複雑な作業があったと考えられます。
財務状況の悪化
同社の財務状況にも注目が集まっています。
2023年3月末時点で、自己資本比率が29.4%と低下し、有利子負債が8億円と増加していました。加えて、同社は2023年6月期に2億円の増資を実施しましたが、その目的は「事業拡大に伴う設備投資や運転資金の確保」であり、「財務基盤の強化」ではありませんでした。
これらのことから、同社は資金繰りに苦しみ、借入金や支払利息などの負担が重くなっていた可能性があります。
したがって、期末決算の確定に時間を要した理由として、資金調達や債務整理などの難しい交渉があったと推測されます。
Viceroy問題への再注目
2023年5月に投資調査会社Viceroyから指摘された問題は、決算発表の延期により再び市場の注目を集めています。
その背後には「パススルー企業」の疑惑と子会社VSUNとの密接な関連があるとされています。
中国企業の関税回避のための利用疑惑
中国の太陽光パネル製造企業が、米国の関税を回避するために「パススルー企業」のAbalanceを利用しているという疑惑が浮上しています。
もしこの疑惑が事実であれば、法的な制裁や信用の低下が懸念されます。
米国の関税強化による売上激減の懸念
2024年6月から、米国がパススルー企業に対する関税を強化する予定となっています。
そのため、Abalanceの売上が激減する可能性が指摘されています。
この問題が将来的に同社の業績に大きな打撃を与える可能性があります。
VSUNが中国企業の傀儡として事業を行っている疑惑
売上の約90%がベトナムの子会社VSUNから得られているAbalanceにおいて、VSUNが中国企業の傀儡として事業を行っているという疑惑が浮上しています。
VSUNと中国企業との間に不透明な関係があるのではないかという懸念が広がっています。
売上の依存性
上記の疑惑が真実である場合、Abalanceの売上の大部分が不安定な基盤に依存している可能性があります。
この状況は、投資家にとって大きなリスクとなり、同社の株価にもネガティブな影響を及ぼす可能性があります。
このViceroy問題は、Abalanceの信用と業績に対する大きな脅威となっており、今後の展開が市場の関心を引きつけています。
詳細な調査と透明な情報開示が求められる状況です。
今後の展望
Abalanceは、決算発表が可能になった際に速やかに公表する方針です。
同社の業績や財務状況の公表が、株価の回復につながるかどうか注目されるところです。
株主や投資家は、決算発表に細心の注意を払う必要があります。
コメント