【日本ダービー】補欠出走となるトーセントラムに藤田菜七子騎手が騎乗する可能性
この度、5月28日に開催予定の日本ダービー(GI、芝2400メートル)は、18頭のフルゲート制限に対して19頭がエントリーされています。
その中で除外対象となっているトーセントラム(美浦・小桧山悟厩舎、牡)ですが、万が一回避馬が出た場合には出走可能となり、そうなれば藤田菜七子騎手(25)が騎乗することが計画されています。
この意向をトーセントラムを管理する小桧山調教師が21日に明らかにしました。
来年2月に定年を迎える小桧山調教師にとっては、これが最後のダービーチャンスとなります。
彼は、「1勝馬ではありますが、オーナーである島川隆哉氏は父のヴァンキッシュランも所有していました。そして、”もし出走が可能であればぜひ出場したい”との意向を示されました。その結果、藤田菜七子騎手に騎乗してもらうことを決定しました」とその背景を説明しました。
5月4日栗東トレセンで目に涙を浮かべて謝罪行脚
5月4日、栗東トレセンには少し緊迫した空気が流れていた。
デビュー1年目の河原田は朝から多くの馬の調教を精力的にこなしていたが、固い表情を浮かべていた。
調教が終わる頃に報道陣の前に姿を現し、目に涙を浮かべながら「ご迷惑をおかけしました。私の認識が甘かったです。申し訳ありませんでした」と話した。その後、関係者にも頭を下げた。
春の福島開催リーディングを獲得した3年目の永島まなみ(20)も、調教が一段落ついた頃にスタンド前に姿を現した。
終始、うつむいたままで表情も硬かった。
まずは先輩騎手や調教師に謝罪して回った。
その後、報道陣にも歩み寄ると消え入りそうな声で「発表の通りです」とひと言を発したが、表情からはショックを受けていた様子が伝わってきた。
昨年の新人賞に輝いた2年目の今村聖奈(19)は、最初の調教を終えた直後、肩を落としながら歩いてくると「このたびはご迷惑をおかけして、本当にすみませんでした。私たちがいけなかったです」と神妙な面持ちで話した。
いつもの元気はなかった。
3年目の古川奈穂(22)も自厩舎の調教に騎乗した。
3日の夜に自身のインスタグラムを更新して「自身の認識の甘さにより、多くの皆様にご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。今回の処分を深く受け止めて、しっかりと反省します」と謝罪した。
藤田菜七子以外の女性騎手全員30日騎乗停止処分
競馬開催中に通信機器(スマートフォン)を不適切に使用し、競馬の公正確保に関する業務上の注意義務を怠ったとして、今村聖奈(19)、永島まなみ(20)、古川奈穂(22)、河原田菜々(18)、小林美駒(18)、角田大河(19)の計6人が、5月13日から6月11日まで30日間(10日間)の騎乗停止処分を受けることになりました。
4月23日、福島競馬場の職員から「女性ジョッキールーム(控室)で騎手がスマートフォンを使用している疑いがある」と報告があったことをきっかけに、問題が発覚しました。
永島、小林美、河原田の3人は、同日最終レース終了後の聞き取りで、騎乗馬のレース動画やオッズを閲覧するため通信機器を使用していたと認めました。
古川も同様に使用が判明し、今村は同日、京都競馬場での使用が認められたほか、前日22日夜に京都市内の認定調整ルームにいた角田からかかった電話で会話していたことも分かりました。
JRAの聞き取りに角田は「騎手同士なら大丈夫という認識だった」と答えたということです。
6人は、日本中央競馬会競馬施行規程第147条19号「競馬の公正確保について業務上の注意義務に違反した者」に該当すると認定され、開催10日間の騎乗停止処分が科されました。
JRAは6人のスマートフォンの通信履歴を調べたが、外部との通信や通話は確認されませんでした。
いつから不適切な使用が行われていたかは、正確な日付が判明しないため発表されませんでした。
競馬場や騎手の宿泊場所となる調整ルームでは、競馬の公正を期すため外部との接触の禁止を目的に、入室後の携帯電話使用が禁じられています。
通信機器を使っての動画などの閲覧は、あらかじめダウンロードしたものに限られ、閲覧したい旨を担当職員に届け出る必要があります。
当然、開催中の競馬場でレースの合間に過ごすジョッキールームには持ち込むことも固く禁じられています。
JRAの久保厚審判部長は、「今回の事案はジョッキールームに持ち込んでいたことが重大と判断。管理が足りなかった部分は反省している。ジョッキールームの監視を強化するなど、再発防止に努めていきたい」と話しました。
近年増加傾向も圧倒的男社会で女性騎手への管理が行き届いていない現状
2016年に藤田菜七子騎手がデビュー、16年ぶりの女性騎手誕生として話題を呼びました。
そして、2021年には古川奈穂と永島まなみ、2022年に今村聖奈、2023年に河原田菜々、小林美駒と毎年のように女性騎手がデビューしていきました。
男社会に単身乗り込んでいった藤田菜七子騎手と違い、2021年以降にデビューした女性騎手5人は年も近く、デジタルネイティブ世代でもあります。
プロのジョッキーとはいえ、年齢的には高校卒業したての女子大生、監視が緩ければスマホも持ち込んでしまう事もあるでしょう 。
周りの男性である大人も、競馬の事は指導出来ても、女性専用ルームでの振る舞いまで指導が及ばなかったのも仕方ないといえば、仕方ないともいえます。
中央競馬には160人近い騎手が在籍しているため、近年急増したとはいえ、女性騎手はまだまだ少数派。
当然ながら、調教師やJRAのスタッフなども含めて、基本的には男性社会。
藤田菜七子騎手のデビューを機に急ごしらえで設けられた女性専用の騎手などの管理は追いついておらず、自然と監視の面も甘くなっていた感が否めない。
今回のケースでは、今村聖奈騎手が男性騎手の角田大河騎手と通話していた事も発覚し、角田大河騎手も一緒に騎乗停止処分となっているが、今後は当然騎手同士や競馬関係者との色恋沙汰や結婚などの事例も出てくるだろう。
JRAはテレビCMなどを通じて女性ファンを増やす事を目的とした広報を盛んにしているが、スタッフ側にも女性を増やし、女性騎手のプライベートやメンタル面のサポートを充実させていく努力も必要となってくるでしょう。
これからも女性騎手たちの活躍に期待し、競馬界が女性騎手増加の過渡期を乗り越え、より多様性のある環境となることを願っています。
その過程で、競馬界は様々な課題に直面するでしょうが、適切な対応を行い、成長を続けることが重要です。
最後に、今回の騎乗停止処分を受けた女性騎手たちについても、この経験を学びの機会と捉え、より一層の成長につなげていくことが望まれます。
競馬界が女性騎手の増加を受け入れ、サポートを充実させることで、彼女たちの活躍がさらに広がることを期待しています。
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