pixivがAI技術に関して、2023年5月31日に新たなガイドラインを改定しました。
ここでは、新たな方向性として提唱された5つの要点について詳しく解説します。
作風の再現の禁止
この要点は、特定のAIモデル、具体的にはLoRAモデルの使用を禁止するという内容です。
LoRAモデルは、ある作風のイラストを20枚以上用意し、それをAIに学習させることで、その特定の作風に特化したイラストを生成する技術です。
例えば、「いらすとや」の絵柄をAIに学習させれば、「いらすとや特化モデル」を作成することが可能となります。
なりすまし行為の禁止
LoRAモデルを使えば、著名なイラストレーターの画風を模倣することが技術的に可能となります。
しかしながら、個々の絵柄は、作者が長年にわたり描き続けることで到達した個々の努力の結晶です。
他者がこれを簡単に模倣するべきではない、というのがこの要点の主旨です。
児童に関する性的表現の禁止
AIの使用に関わらず、児童を保護するための児童ポルノ禁止法が既に存在しており、これは遵守すべき法律です。
AIで生成された実在しない児童であっても、性的表現は許されない、というのがこの要点です。
写真と誤認しうる性的な作品の禁止
pixivは、性的なコンテンツそのものを禁止しているわけではありません。
しかし、pixivはあくまでイラスト投稿サイトであり、例えばドールの写真の投稿などは禁止されています。
写真を元に学習されたAIによるイラストは、疑似写真となりえるため、これも禁止とされています。
作品がAI生成したものであると周知すること
イラスト投稿の際に、「AI生成作品」かどうかチェックする項目が設けられています。
pixivがAIイラストを全面的に禁止するという強硬な措置を取らず、これを模索してくれている以上、AIイラスト投稿者もこのルールを正しく遵守すべきです。
新ガイドラインまとめ
全体を通してみると、pixivが提唱する新たな方針は妥当であると考えられます。
AIイラストについては全面禁止ではなく、その良し悪しのラインを明確に定めつつ、AI生成物との付き合い方を模索しているところに、新技術であるAIと正しく向き合おうとする姿勢が見て取れます。
今後の動向も引き続き注視していきたいところです。
pixivとは
pixivは、イラストやマンガ、小説などの投稿ができるオンラインコミュニティです。
多くの創作者が作品を投稿し、評価やコメントを通じて交流を楽しんでいます。
pixivで収益を稼ぐ仕組み
pixivでは、広告収益や有料会員制度「pixivプレミアム」を利用して、創作者が自分の作品から収益を得ることが可能です。
創作物を販売するマーケットプレイス「BOOTH」も提供しており、さまざまな方法で創作者たちが収益を上げることができます。
pixivFANBOXも、イラストレーターやクリエイターがファンから支援金を受け取ることができる仕組みで、創作者たちにとって重要な収益源の一つです。
これまでの騒動の経緯:創作者たちのpixiv離脱と個人サイトへの移行
AI絵師の悪用
しかし、一部の人々が画像生成AIを悪用し、無断でイラストレーターの作品を学習材料にしています。
これにより、創作者の権利が侵害され、収益を得る機会が奪われる恐れがあります。
「pixivFANBOX」で不当に支援金を稼いだ疑惑
AI絵師の悪用に関して、pixivのマネタイズ機能である「pixivFANBOX」で不当に支援金を受け取ったとされる疑惑もありました。
一部のAI絵師が、他人の作品を模倣したイラストを生成し、それを自分のオリジナル作品としてpixivFANBOXに投稿することで、不正に支援金を得る疑惑が報告されています。
これにより、オリジナル作品を制作している創作者たちの権利が侵害され、彼らに対するファンの支援が減少する恐れがあります。
非公開化への動き
これに対し、pixivで活動するイラストレーターたちが、自分たちの作品を非公開にし、AIによる学習を防ごうという動きが広まっています。
一部のイラストレーターは、pixivのAI対策が不十分であるとして、投稿を控えることを宣言しています。
個人サイトへの移行
pixivから離脱する創作者たちは、自分たちの作品を個人サイトに移行しています。
個人サイトでは、自分の作品に対するコントロールが強化され、無断でのAI学習のリスクが軽減されるため、この選択をする創作者が増えています。
Lony:個人サイトを支援するWEBサイト
個人サイトへ移行する創作者を支援するWEBサイト「Lony」が話題になっています。
Lonyは、個人が運営する創作サイトの総合検索エンジンで、ジャンルや年齢制限に関係なく、創作系のサイトであれればどのようなサイトでも登録できます。
このようなサービスが登場することで、個人サイトへの移行がさらに進むことが予想されます。
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