金融教育ブームが追い風となる新展開

現在国会では、金融商品取引法や金融サービス提供法の改正案が審議されています。
岸田政権が新資本主義を掲げ、国民の資産所得倍増を目指す状況下で、個人が金融や経済情報を適切に把握し、必要な商品やサービスを自己判断できる金融リテラシーの向上が重要とされています。
この改正案は資産形成の支援策の基本方針を定め、金融経済教育推進機構の設立を含め、国・自治体・企業間の協力を規定しています。
日本の人々は現預金比率が高く、株式や投信の保有比率は低いという状況が続いています。
これは金融リテラシーの不足が最大の障害となっています。
海外調査によれば、金融リテラシーがある成人の割合は141カ国中38位で、欧米やアジア、オセアニアの主要国の中では最も低い位置にあります。
最近の調査では、18歳から79歳までの人々の75%が学校で金融教育を受ける機会がなかったと回答しました。
これは欧米と比較すると極めて低い数字であり、成人年齢が引き下げられてからクレジットカードの作成や決済、銀行口座の開設などが18歳から可能となったことを考慮すると、高校生から家庭科の授業で金融教育を受けることが遅れていました。
改正法案が成立・施行されれば、全国の学生一人に一台のコンピューターを整備するGIGAスクール構想と同様に、金融リテラシーの向上に向けた取り組みが急速に進むことが期待されます。
保険、資産運用、住宅ローンなどのライフプラン・コンサルティングを行うブロードマインド(7343)は、金融リテラシー向上のためのファイナンシャルコーチ業務を展開しており、講師派遣などの需要増が予見されます。
金融教育プログラムは今年になってからシステムインテグレーターの大手上場企業に採用されるなど、その知名度が急速に上昇しています。
2024年3月期の営業利益も前期の26%増益に続き、2桁の増益が見込まれています。
さらに、前期に20周年記念配当を行ったことも考慮すると、今期は実質2円の増配が予定されています。
ブロードマインドの業績は明るく、その展望は極めて有望です。
競合比較と株価指標の分析
現在、ブロードマインド(7343)の時価総額は54億円で、最低購入金額は9.89万円となっています。
売買単位は100株で、売買代金は約14百万円(22日平均は15百万円)。
出来高は14,900株で、予想PERは12.89倍、実績PBRは1.49倍です。
また、予想配当利回りは2.22%となっています。
ブロードマインドとライバル企業のアドバンス(8798)とアイリック(7325)を比較してみましょう。
アドバンスの時価総額は257億円、現在の株価は1,142.0円です。
売上高は11,860百万円、営業利益は2,061百万円、営業利益率は17.37%となっています。
予想PERは17.17倍、実績PBRは3.49倍、予想ROEは20.9%で、自己資本比率は57.2%です。
アイリックの時価総額は62億円、現在の株価は722.0円です。
売上高は5,199百万円、営業利益は418百万円、営業利益率は8.04%となっています。
予想PERは34.87倍、実績PBRは1.62倍、予想ROEは4.7%で、自己資本比率は83.0%です。
これらを比較すると、ブロードマインドの予想PERは12.89倍と、アドバンスの17.17倍、アイリックの34.87倍に比べて低く、投資家にとっては割安感があると言えます。
また、営業利益率は14.29%と高水準を保っています。
しかしながら、予想ROEは11.8%で、アドバンスの20.9%やアイリックの4.7%と比較すると、自己資本に対する収益性は中間的な位置にあります。
全体として、ブロードマインドは財務面での安定性と成長性を兼ね備えており、その企業価値は堅調に推移しています。
ただし、予想ROEや実績PBRなどの一部指標では競合他社との比較で遅れをとる面も見受けられます。
それらを踏まえた上で、投資判断をすることが求められます。
四季報と業績予想に基づく分析と展望
近年、資産形成の機運が高まり、相談件数が増加しています。
その結果、新規顧客の獲得が想定を超え、営業増益の幅が拡大しています。
同社は創業20周年を迎え、その記念配として2円の増配を行っています。
また、2024年3月期もオンライン相談件数の増加により、生命保険や金融商品の手数料が増加し、人件費の増加を吸収して連続増益を見込んでいます。
また、企業従業員向けの金融教育プログラムについては、IT大手のSCSKが新規で採用。
そのオンライン面談のノウハウを他社に提供するビジネスも始めています。
最新の業績予想では、2024年3月期の売上高は前期比9%増の4,800百万円、営業利益は前期比8.3%増の650百万円を見込んでいます。
また、純利益は前期比の減少となる420百万円、一株当たりの利益(EPS)は78.9円、一株当たりの配当は22〜24円を見込んでいます。
連23.3の決算では売上高が4,324百万円、営業利益が618百万円、経常利益が651百万円、純利益が535百万円となり、一株当たりの利益(EPS)は100.8円、一株当たりの配当は24円となっています。
財務面においては、2022年12月末時点での総資産は4,283百万円、自己資本は3,439百万円、自己資本比率は80.3%と、堅調な経営基盤を保っています。
有利子負債はゼロであり、財務健全性が高いことが窺えます。
連22.3のROE(自己資本利益率)は11.3%、ROA(総資産利益率)は8.0%であり、双方ともに良好なレベルを保っています。
これらのデータから見ると、ブロードマインドは成長と利益性を兼ね備えた魅力的な企業といえるでしょう。
今後のさらなる業績向上が期待されます。
コメント