5243 note 赤字の新興小型株 ChatGPT関連バズワード投資の典型的な失敗例

note: バズワード銘柄への投資は慎重さを要する

noteへの投資は、短期的なバズワードに誘導されて投資を行うと、損失が生じる可能性があるという教訓を示しています。

同社は2023年2月8日に米OpenAIが開発したChatGPTの「GPT-3」を活用した創作支援ツールの先行ユーザーを募集するという発表を行いました。
これにより、株価は一気に急騰し、3月22日には発表前の約2倍に達しました。

しかし、そのピークを迎えると、株価は下落の一途を辿り、上昇幅はあっという間に消えてしまいました。

冷静に見れば、「GPT-3」を活用した創作支援ツールの開発というニュースは、即座に収益へと結びつくものではありませんでした。

逆に、赤字が続くnoteにとっては、OpenAIに対するAPIの手数料や研究開発費が新たな負担をもたらす可能性があります。

短期的な株価の変動に影響されず、冷静な投資判断を行うためには、株価の一時的な急騰に乗らないことも重要な戦略となります。
特に新技術関連の発表による急騰には注意が必要です。
新技術は商用化まで数年を要する場合が多いため、初期の上昇トレンドに飛びつくと、実際の業績向上を待たずして株価が下落するリスクが高まります。

プロの投資家は、基本的に短期で上昇トレンドが終わりそうな場合は手を出しません。
特にnoteのような時価総額が100億円以下の小型株には特に注意を要します。
小型株は、新たなニュースによって急速に買われ、同様に速やかに売られる傾向があります。

バズワードや一時的な話題に関連した発表によって株価が急騰し、その後速やかに下落するケースが散見されるため、投資判断には常に警戒心が必要です。

会社概要

  • 社名:note(旧社名:ピースオブケイク)
  • 設立:2011年12月
  • 上場:2022年12月
  • 本社:東京都港区北青山3-1-2青山セント・シオンビル
  • 主要事業所:東京都渋谷区神宮前3-1-30 Daiwa青山ビル2階(イベントスペース)
  • 従業員数:183名(平均年齢35.5歳、平均年収680万円)
  • 上場市場:東京(G)

加藤貞顕が保有する株式が38.92%と最も多く、次いでフェムトグロースキャピタル投資事業組合が12.45%、日本経済新聞社が6.77%と続きます。
株主総数は29名、発行済株式総数は14,617,900株となっており、少数特定者の割合は86.20%です。

CtoCクリエイティブプラットフォームの新潮流

noteは、テキスト、画像、つぶやき、音声、動画といった5つのコンテンツタイプを用いて、ユーザーが簡単に創作を行えるCtoCメディアプラットフォームを展開しています。
クリエイターは自身の文章、漫画、動画等を投稿し、販売することが可能で、読者は自由にそのコンテンツを閲覧・購入できます。

投稿されたコンテンツはドラマや書籍化につながる例もあり、PV目的の炎上投稿が少ないという特徴を持ちます。
これは、投稿のランキング表示や広告が存在しないためです。
その収益源となるのは、課金手数料や月額課金プラン等です。

noteはまた、法人向けサービス「notepro」を展開しており、これが事業の第二の柱となっています。
テレビ東京HDをはじめとする複数のメディアと資本提携を結び、内部留保を優先しています。

四季報分析:成長の可能性と課題

note株式会社は、クリエーター向けのCtoCメディアプラットフォームを提供する企業で、個人向けの「note」と法人向けの「notepro」が主力商品となっています。
四季報によると、課金手数料の増加や有料契約数の積み上げにより収益が増加している一方で、エンジニアやデザイナーなどの増員により人件費負担が重く、現在も赤字が続いています。

また、noteは提供サイト上のサブスクリプションや企業ブランディングといった多様な利用シーンを追求しており、学校などにも導入を促進しています。
しかし、赤字脱却の目標時期は非開示であり、現状では人員の増加ペースを抑制する方針を取っています。

業績と財務

四季報によると、2022年11月期の売上高は23.17億円、営業利益は-7.32億円、経常利益は-7.42億円、純利益は-7.56億円でした。
これに対して2023年11月期予想は売上高30億円、営業利益-5.3億円、経常利益-5.5億円、純利益-5.5億円となっています。
2024年11月期予想では売上高35億円、営業利益-2億円、経常利益-2億円、純利益-2億円と予測されています。

noteの総資産は33.03億円、自己資本は18.17億円で、自己資本比率は55.0%です。
有利子負債は1.6億円、ROEは-63.3%、ROAは-22.9%と、現在は収益性に課題があることがわかります。
また、営業CFは-6.6億円、投資CFは-0.23億円、財務CFは20億円で、現金等は21.88億円となっています。

note株式会社は、会員登録者数の拡大や法人向けサービスの成長などを通じて収益を増加させています。
しかし、現状では人件費負担が重く赤字が続いているため、財務の健全化や利益体質の改善が課題となっています。
成長の可能性が見込まれる一方で、収益性の向上や経営効率化に注目が集まるでしょう。

株価指標とライバル比較:ITメディア業界の現状と展望

note株式会社の株価指標

note株式会社の時価総額は81億円で、売買代金は112百万円、平均出来高は206,100株となっています。
売買単位は100株で、最低購入金額は5.4万円です。

赤字のためPERは無く、実績のPBR(株価純資産倍率)は4.34倍となっています。
無配当で、自己株保有率は0.0%です。
また、1株純資産は124.4円(42.1円)で、年初来高値は927.0円、年初来安値は401.0円、年初来株価上昇率は+30.1%です。

noteと競合他社の比較

ライバル企業であるITmedia(2148)、ZUU(4387)、はてな(3930)との比較では、以下のような特徴が見られます。

ITmediaは時価総額261億円、営業利益率33.47%、予想PER12.94倍、実績PBR2.63倍、自己資本比率84.5%となっています。
この数字から、ITmediaは営業利益率が高く、自己資本比率も強い企業であることがわかります。

一方、ZUUは時価総額36億円、営業利益率6.17%、予想PER40.37倍、実績PBR2.88倍、自己資本比率41.0%となっています。
これは、ZUUの株価が収益に比べて高いことを示しています。

はてなは時価総額24億円、営業利益率10.57%、予想PER25.44倍、実績PBR0.97倍、自己資本比率82.2%となっています。
はてなの実績PBRは1倍未満で、自己資本比率が高いことから、財務基盤が強い企業と言えます。

noteは成長性のある企業ではありますが、赤字が続いていることから収益性に課題があります。
しかし、そのビジネスモデルや成長性を評価する視点からは、今後の展開に注目が集まっています。

ライバル企業との比較からも、noteの課題と可能性が見えてきます。
これからのnoteの成長とその業績改善に期待するとともに、他社との競争力を持続的に評価し続けることが重要となります。

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