驚異的なペースで上昇を続ける日経平均株価とは対照的に、保有株が値上がりしないという悩みを持つ投資家も少なくないでしょう。
日経平均株価は、2023年5月29日時点で33年ぶりの高値、3万1233円54銭まで上昇しています。
主要な推進力は海外投資家であり、彼らは4月以降、日本株を約3兆6000億円購入しています。
同時にダウ平均株価は、5月以降、ほぼ逆方向に動きを見せています。世界がグローバル化し、各国の株価の方向性が通常、ほぼ同じになる現代、このような日経平均とダウ平均の逆行は、個人投資家にとって違和感をもたらしています。
日経上昇、ダウ下落の要因
日経平均とダウ平均のこの動きには、いくつかの理由があります:
- 日本銀行の新総裁である植田和男氏の発言から、日本の金融緩和策が続くとの期待感
- 新型コロナウイルス感染症対策の「5類」移行に伴い、遅れてきた日本経済のアフターコロナに対する活況期待
- 長期のデフレからインフレ転換による日本経済の正常化への期待
- インフレ率高止まり、アメリカのさらなる金融引き締めに対する懸念
しかし、それにも関わらず、個人投資家からはあまりポジティブな声が上がっていません。
その理由は日経平均株価の上昇と個別銘柄の動きの違いにあるからです。
個別銘柄と日経平均株価:大きなギャップ
成長株を中心に個別銘柄への投資を行っている個人投資家は、日経平均が急速に上昇しても個別銘柄の動きが全く追随していないことを痛感しています。
東京証券取引所の1部上場銘柄の約3分の1が1年前より株価が下がっているのに対し、日経平均株価は約20%上昇しています。
日経平均が33年ぶりの高値更新と騒がれている中、株価が25日移動平均線すら超えていない個別銘柄が、実に東証上場銘柄全体の6割近くを占めています。
とくに日経平均採用銘柄のないスタンダード市場やグロース市場では、25日移動平均線を下回っている銘柄の割合が多くなっています。
これでは、よほど銘柄選びの運がよくなければ、利益を上げることは難しいでしょう。
また、個人投資家が信用買いでどの程度の含み損益を抱えているかを表す「信用評価損益率」も、5月19日時点でマイナス8.9%と、日経平均が上昇を続ける中でほとんど改善していません。
このことからも、多くの個人投資家は今回の日経平均上昇の恩恵を受けていないことがわかります。
これらの状況を踏まえると、日銀の金融緩和策が当面続くことを見越して、短期筋の海外投資家が先物主導で日経平均株価を買い上げたというのが、今回の日経平均上昇の実態です。
決して日本経済の今後の浮上を期待して、日本株全体に資金が入っているわけではないことに注意が必要となります。
投資戦略の見直し
では、このような状況下で、私たち個人投資家は今後どのように対処していけばよいのでしょうか。 これまでも、今回のように「日経平均だけ異様に強いものの、個別銘柄はさっぱり上がらない」ということは何度もありました。
日本株の買い手が日経平均先物を中心に買ってくる場合、日経平均に採用されていない個別銘柄には資金が回ってこないため、株価が上昇しないのです。
足元の日経平均の上昇をもって、一部の市場関係者からは、日経平均はバブル時高値を更新して4万円を目指すだろうという声も聞こえてきます。
ただし、日経平均4万円を目指す過程で、今回のように先物主導で買われ、個別銘柄が上昇についてこれないようだと、「バブル時高値更新!」と大々的にニュースで報道されても、個人投資家としてはまったく実感が湧かないということになりかねません。
対応策として考えられるのは、今回の上昇のように、日経平均だけがやたら強いという状況下においてしっかり株価が上昇している個別銘柄を探し、順張りでその動きについていくことです。
株価が上がらない銘柄を「出遅れ」とか「まだまだ割安」という観点で買ってしまうと、日経平均上昇の流れから置いていかれるでしょう。
そして何より、個別銘柄への投資と同時に、日経平均株価連動型ETFや日経平均先物やCFD(差金決済取引)など、日経平均が上昇すれば利益を得られる金融商品に投資するのが有効です。
そうすれば個別銘柄がまったくイマイチな動きであっても、先物の上昇によって利益を得ることができます。
「日経平均は上昇しているのに個別銘柄は上がらない」と嘆くだけではなく、日経平均上昇の恩恵を受けることができるような行動を心がけましょう。
初心者ほど素直に日経平均株価連動型投資信託を積み立てており、しっかりと日経平均急騰の恩恵を受けています。
成長株へ投資しているベテラン投資家も、下手なプライドは捨てて、日経平均株価連動型ETFにも投資資金を振り向けるようにしましょう。
1320 iFreeETF 日経225:出来高ダントツで信用倍率も良好なオススメな日経平均株価連動型ETF
ETF(Exchange Traded Fund)はその手軽さと効率性から、多くの投資家に愛用されています。
そして、その中でも日経平均株価に連動するETFは注目度が高いです。
特に、その中でも「1320 iFreeETF 日経225」は、ダントツの出来高を誇り、多くの投資家に選ばれています。
1320 iFreeETF 日経225は、大和証券グループが運用するETFで、日経225を連動対象としています。
このETFは、2001年7月13日に上場し、純資産は3,805,299百万円(2023年5月26日現在)に上ります。
現時点で信用倍率は0.55倍と良好な状況で、今後もショートカバーの買い戻しが株価を下支えする展開が期待出来ます。
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