『防風通聖散』 体力気力あって健康が故に食べ過ぎてしまうタイプに


漢方薬の「防風通聖散」、小林製薬では「コッコアポEX」という名称で「食欲を抑える」「老廃物を排出する」「脂肪を燃やす」効果のある薬として喧伝されている。
特に気力体力はあるけれども、代謝する力はちゃんとあるものの、必要なエネルギー量を上回る量を食べている、食欲旺盛ですぐにお腹が空く人にオススメの漢方薬。
味の濃いこってりとした食事が大好きで、便秘がち。
脂っこいものを食べれて便秘がちというのは、元気だからこそ出来てしまう。
逆に虚弱な人よりも気を使わずに生活が出来てしまうが故に危険。
人の体は、せっかく摂取したエネルギーを「余ったから」という理由だけで排出する事はない。
本人の意志とは関係なく、脂肪に変換して体に蓄積してしまう。
特に味の濃いこってりとした食事というのは、消化に時間がかかるため、胃腸は常に働き続ける事となてしまう。
そして、ずっと胃腸の働きが活発なために、食欲も抑えられずに食べ過ぎてしまう事になってしまう。
更に胃腸の働きが活発になると熱が生まれてしまい、冷たい飲み物も好むように。
そうなると、ビールやハイボール、ストロング缶などの大量飲酒にも繋がっていってしまう。
「防風通聖散」には過食や暴飲暴食を促す「胃熱の状態」を取り除くための処方となっている。
熱を体外へ逃し、体の老廃物を汗や便・尿として排出する事で代謝を活発にする効果もある。
また、脂っこい食べ物を好み、高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせやむくみ、さらに蓄膿症や副鼻腔炎、湿疹・皮膚炎・吹出物やニキビにも効果を発揮する。
『大柴胡湯』 ストレス・イライラによって食べ過ぎてしまうタイプに


ストレスでホルモンバランスが乱れて、食べ過ぎや過度の間食を引き起こしてしまうタイプに。
人はストレス状態におかれると、緊張・興奮状態が続き、身体が興奮状態を解消するために、食べたりお酒を飲む事によるリラックスを求めるようになる。
更に脳が疲れを癒やすために、エネルギー源となるブドウ糖を求めるようにもなってしまう。
ストレスは食欲の元となり、過食の原因となる。
漢方の観点からみると、ストレスはエネルギーの流れを悪くする「停滞」をもたらすものとされる。
エネルギーというのは量が足りているだけでは不十分で、体中を巡る事が重要となってくる。
ストレスが溜まってイライラしている人は、決してエネルギーが足りないわけではなく、エネルギーが停滞している事により、必要以上に食べてしまう事になる。
特にリバウンドの主な原因もストレスとされている。
大柴胡湯には、ストレスなどによるイライラを改善させる効果があり、食べ過ぎを抑える事に繋がる。
食欲という悪魔
食べる事だけがストレス解消!
仕事終わりにプラッと入るお店での一杯が最高!
仕事中にもチョコレートを食べながらじゃないと集中できない!
これらの食べる行為は、決して必要な栄養を摂取するためには不要であり、心に幸せをもたらすため、「心を満たす為」に食べている。
現代において、最低限必要な栄養を摂るための食事なんてもはや意識するまでもない。
緊張やストレスに晒された心を癒やすために、余計な量まで食べてしまったり、必要以上に脂っこいものやジャンクフードに手を出してしまう。
「食べる」ことで自分の心の平穏が保たれているという事を、身体は理解しているからこそ、なおさら食欲にストップをかける事が出来なくなっていく。
飽食の現代、街を歩けば100メートル以内にコンビニやスーパー、ファストフード店があり、しかも24時間営業で美味しくて安い食べ物やスイーツがいつでも簡単に手に入る。
「食べ物との距離が近すぎる」事により、現代人にとって食欲を我慢する事は非常に困難となっている。
豊かになった現代人に必要なのは、食べ物をたくさん手にする事ではなく、「自分の必要な量だけを過不足なく得る」事の幸せに気付くこと。
世界中で大ヒットした近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」では、「捨てる事の大切さ」が語られており、「ときめく」という心の動きに基づいて本当に自分に必要なものだけを選別する事を提案しているが、これは日々の食事にも当てはまる。
たくさんの食べ物を食べる事だけが、必ずしも精神的な豊かさに直結するわけではなく、今この瞬間が幸福感にあふれているかどうか、「どう感じて食べるのか」自身の感覚によって判断出来るように感性を取り戻していく必要がある。
食欲が抑えられないのは知識不足が原因じゃない
ダイエットには食と運動が大事というのは、誰もが知っていること。
糖質を制限してタンパク質をたくさん摂る必要がある、先に野菜を食べるといい、グレープフルーツには食欲を抑える効果がある、おやつにはミックスナッツがオススメ・・・
例え自分から積極的に情報収集せずとも、現代社会に生きていれば、ダイエットや食事にとって有用な情報はどんどん外側から入ってくるし、コンビニの棚にも、「糖質制限」「プロテイン配合」「一日分の野菜」といった健康に良い食品がズラリと並んでいる。
医者が提唱するダイエット法や最新の研究に基づいたメソッドなども、ちょっと検索すれば簡単に手に入る状況であり、「知識不足」が障害となっているわけではない。
どれだけ知識だけがあっても、食欲という悪魔は抑えられない。
偽物の空腹(エネルギーが足りてる状態で起きる空腹)
美味しそうな食べ物を見たり思い浮かべたりした時に食欲が刺激されて感じる空腹、これらは全て偽物の空腹に過ぎない。
食べ物の匂いを嗅いだり、見たり、思い浮かべたりすると、脳はそのイメージを基に「その食べ物が美味しいのか不味いのか」といった判断を下す。
そして、美味しい食べ物だと判断すると、その情報が摂食中枢を刺激し、食欲が湧いてきて空腹を感じてしまう。
反対に、不味い食べ物だという情報を受け取った場合は、満腹中枢を刺激するため、食欲を減退させる効果がある。
過去に美味しい食べ物を食べ歩いたり、料理が趣味で毎日のように美味しい料理を食べていたり、グルメに拘る社会的地位が高かったり、称賛されるような立場の人ほど、美味しい食べ物の記憶が豊富にあるため、偽物の空腹が引き起こされる機会も多くなる、のかもしれない。
だが、金持ちに糖尿病患者が多いのも事実だが、現実には貧乏人ほどデブが多いのもまた真理。
安いジャンクフードや糖質食品もとっても美味しいのだから仕方ない・・・
こうした「偽物の空腹」を無視して、「本物の空腹」、体内のエネルギーが消費され血糖値が低下する事によって生じる空腹を感じた時にのみ、食事を検討する事が大事になってくる。
基本的には、最後の食事から5~6時間以上は経過している事が目安となってくる。
「舌先」でしっかり「味覚」を感じる事が大事
バラエティ番組の企画などでは、目隠しをして食事を行い何を食べたのか当てるゲームで、多くの芸能人が正解出来ない、という様子をよく見かけるが、人というのは目を瞑って食べるだけで何を食べたのか分からなくなるぐらい、ちゃんと「味覚」を感じ取れていない。
有名なトリビアとして、屋台に売っているかき氷のシロップは、「ぶどう糖果糖液糖」という甘い原液を水で薄めただけの代物で、着色料と香料だけが異なるだけ、という話があるように、もう色が違うだけで違った味だと脳が錯覚するように出来ている。
「味わう」とは、本来であれば「甘味・旨味・辛味・苦味」など、その食材の持つ味をきちんと味覚で受け取る事なのだが、結局は見た目や料理名などを基にした「過去の経験からの思い込み」だけで味を判断してしまっている事が多々ある。
味の感想を「おいしい」「すごい」「きれい」「やばい」などといった手軽な言葉で済ませてはいけない。
うまく言葉に出来なくてもいいから、簡単に「おいしい」で済ませずに、湧き起こる感覚や感情と向き合ってみる。
そうする事で本当の美味しさに気づき、ムダな食欲にブレーキをかける事にも繋がっていく。
「味覚」をちゃんと感じるために最も大事なのは舌の使い方で、特に「舌先にものをあてて食べる」事が大事になってくる。
舌の前と中央の部分は舌神経・鼓索神経(味覚に特化した神経)、舌の後ろの部分は舌咽神経(知覚・運動・味覚の混合神経)、舌の付け根は迷走神経(嚥下に関わる神経)に繋がっており、「舌先」こそが特に味覚に敏感な部分となっている。
「出来るだけ食べ物を舌先に当てるようにして食べる」だけで、普段付け根に押し込んで嚥下して食べる癖を矯正し、「早食い」による「暴飲暴食」を制御する事が出来るようになる。
口の中での「自動運転」が危険
食事のとき、多くの人は「噛んだものを飲み込む」という動作を意識する事なく日々行っている。
「口に入れ、噛んで、飲み込む」という動作は、幼い頃から毎日繰り返してきた動作なので、意識する事の方が難しいといえる。
通常、前歯で噛み切った食べ物は奥歯のほうに運ばれていくのだが、無意識に食べていると口の中で「自動運転」が始まり、奥歯で数回噛んだだけで自動的に飲み込んでしまい、すぐに次の一口へ、となってしまう。
この「自動運転」だとあっという間に一口が終わってしまう、よく言われていた「30回は噛みましょう」というルールを守ることは出来ない。
この口の中での「自動運転」こそが、食欲に取り憑かれている人の悩みの根元となっている。
人間というのは、生まれてきたばかりの時には「食べる」という事が出来ない。
生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんのおっぱいから「食べる(飲み込む)」方法を学び、「噛んだ後、舌先を奥に引っ込める事で食べ物が喉に流れる」という動作を身につけ、その動作を何千回・何万回と繰り返す事で「本来の順番」が入れ替わってしまい、噛むよりも先に舌が奥に引っ込み、食べ物を飲み込む癖が身についてしまう。
赤ちゃんの時におっぱいを飲む動作そのままに、多くの人たちが自動運転で食べ物を飲み込んでしまう癖が矯正されないまま、大人になってしまっている。
いざ、しっかり噛もうと思っても時すでに遅し、食べ物はもう飲み込まれてしまって、口の中には何も無いのでよく噛めない、という事態に陥ってしまう。
この自動運転で食べ物を飲み込んでしまう動作も、「食べ物を舌先に当てる」という意識を持つだけで、一旦奥歯の方に運ばれていった食べ物を舌先に戻す事により、「自動運転」を止める事が出来るようになる。
舌先で食べ物の味覚をしっかり味わってから飲み込む、これを意識するだけで飲み込み癖を直して自然と噛む回数が劇的に増えるようになる。
味わいにくいという観点でも「小麦粉製品」「麺類」「ジャンクフード」はNG
ダイエットの、食欲の大敵といえる「小麦粉製品」「麺類」「ジャンクフード」は、糖質やカロリー量だけの問題だけでなく、本来の味覚を鈍らせて、料理を味わわずに飲み込み悪癖にも繋がってしまう。
小麦粉製品というのは、お米と違って小麦粉単体で食べる事が皆無。
最もシンプルな小麦粉製品だと思われるパンにしても、一般的に砂糖や牛乳、バターなど様々なものが足されている。
餃子のような形になってしまえば、それこそ本来の味が何なのか分からなくなってしまい、「小麦粉の味」を感じる事は極めて困難となる。
さらに小麦粉製品というのは、基本的にすり潰されて練られた「加工食品」であり、人間の手によって食べやすく咀嚼が必要無いように調理されているため、非常に飲み込みやすくなっている。
反対に加工されていない食べ物、レンコンの煮物なんて食べるときには、固くてそのままでは飲み込めず、ちゃんと咀嚼する必要に迫られる。
主食はパンよりもお米にした方が、ちゃんと素材の味を感じて咀嚼出来る。
究極的に咀嚼がほぼ不可能な小麦粉製品の王様こそ「麺類」
ラーメンやうどんの美味しさを説明するのに「喉越し」という言葉が使われるほど、「舌ではなく、喉で楽しむ」ように出来ているのが「麺類」といえる。
「ジャンクフード」の「ジャンク」は英語でガラクタ、クズの意味。
高カロリーにも関わらず栄養価が乏しく、砂糖や小麦粉、脂肪分や塩分が大量に含まれている。
加工され、味が濃く、添加物が多く含まれており、当然ながら「味わう」事は不可能な食品となっている。
まあ、わざわざ指摘されるまでもなく、「ジャンクフード」が食べてはダメな食べ物である事ぐらい知ってますよね・・・
出来れば「和食」
洋食や中華に比べれば、和食の方が健康に良さそう、という事は皆の共通意識として通底していると思われる。
和食の特徴として、「食材の形が見える料理が多い」というのがある。
主食のお米にしろ、焼き魚やお寿司など、素材そのものの形や味がしっかり残っているものが多い。
和食の世界には「引き立たせる」という言葉がある通り、食材本来の味を引き立たせてくれる和食であれば、「しっかりと味わい」「咀嚼する」事が可能となる。
胃の「満腹感」と「満足感」
「満腹感」とは、胃が物理的に食べ物でいっぱいになった状態。
「満足感」とは、精神的に満たされた状態で、食べた量に関わらず、もう十分と思える心の状態。
当然ながら、食欲をコントロールするために必要なのは精神的に満たされた状態を示す「胃の満足感」
「満腹中枢」というのは、脳の一部分の事で、「もうお腹いっぱいになりましたよ!」と体に知らせてくれる場所。
食べ始めてから20分で満腹中枢は働き始めると言われているので、そのためにゆっくり食べる必要があるとされている。
ところが、この「20分」というのが思いの外長い。
コース料理でも無い限り、10分以内、独りでささっと食事を済ませる場合には5分も掛からずに食事を済ませてしまっている人が大半だと思われる。
「20分かけて食べる」という行為は想像以上に難しいため、「満腹中枢に頼らない」「満足感づくり」が大事になってくる。
強迫観念から生じる抑圧は最も危険
「消費カロリーより摂取カロリーが多いと・・・」「甘い物は食べてはいけない」「糖質は摂るべきじゃない」「毎日ヨーグルトを食べるべき」「1日1食にすべき」「1日6食にすべき」「MEC肉卵チーズならいくらでも食べてOK」「食前にサラダ食べるべき」「朝ごはん食べるべき/半日断食で朝ごはん抜くべき」「ベジタリアン・ヴィーガン」「チアシード」「アサイー」「キヌア」・・・
ひとつひとつの情報について、「明らかなフェイク」も無ければ、「絶対的な正義」もない。
全て、情報として「参考にする」だけなら全く問題は無い。
しかし、これらの情報が自分を追い込む「強迫観念」に変化してしまうと、味方だったはずの情報が自分に牙を向けてくる。
「〜しなければならない」「〜してはいけない」「〜するべきだ」といった「強迫観念」は、心の圧となって自分自身に重くのしかかってくる。
こうした強迫観念に囚われ、食に関して常に心の圧を感じていると、反動で食欲が暴走し、「暴飲暴食」という形で結実してしまう。
「オルトレキシア」不健康食拒食症
過度に健康に関する情報を収集し過ぎて強迫観念に囚われた結果、異常なまでに食べ物の質にこだわり、健康的な食事のために自分で食べ物を選ぶ事が出来なくなってしまう症状。
特に「ベジタリアン」や「ヴィーガン」の人に発症しやすい。
このオルトレキシアから解放されるためには、他人からの「情報」に振り回される事なく、自分の舌先でしっかりと食材の「味覚」を味わい、「自分の身体に必要な食べ物かどうか」自分自身でしっかりと判断できる感性を取り戻す事が大事になってくる。
「◯◯は食べてはいけない」という情報を耳にしたとしても、自分の舌先による感覚を信じて、一度は試しに食べてみる。
自分の舌先の感覚を信じて、一度は試しに食べてみる、ダメなら食べないで捨てる、という作業を繰り返していく事で、頭でっかちな強迫観念から心を解放する事が出来るようになる。
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